2015年10月19日月曜日

シリア難民川柳カルタ(かきくけこ)

このカルタへの投句を周囲に呼びかけたところ、複数の方から好意的な返事をいただきました。今回は柳名マルセリーノさんによるカ行です。
川柳ひろば管理人
森川博己
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カ 感情が人を動かす心から
「THE WALL STREET JOURNAL」のHPより
トルコの海岸に打ち上げられた幼児。このシリア人の男の子(3歳)の遺体を俯瞰でとらえた写真は日本の新聞に掲載されたのでしょうか。週刊ニューズウィーク日本版で見た瞬間、私はこの子が自分の子のような衝撃をおぼえました。メルケル独首相やキャメロン英首相は、9月初旬にこの写真がメディアに登場してすぐに、シリア難民の受け入れ姿勢を積極的に大きく転換したのでした。感情で動くのはどうか、という人がいるでしょう。しかし、感情が揺さぶられても全然行動に移さないのなら、それこそどうかと思います。

キ きっぱりと示す姿勢が数をうむ
欧米その他の国のように、難民受入について日本は人数を明確に示す必要はないと思います。大事なことは、受け入れる気持ちがあるのかないのか、その姿勢だからです。「内戦を逃れて遠く日本までやってくるシリア難民がいるなら、歓迎します」。この一言こそ、安全な国ができる「おもてなし」ではないでしょうか。姿勢がホンモノなら、受入推進方策の案出に本気で取り組めるはずです。

ク 苦労して日本へ来ても大変よ
菅官房長官は9月24日の記者会見で、「(シリア)難民自身の希望も、地理的要因もある。欧州と日本は違う」と、受け入れに消極的な意見を開陳したらしい。「難民が日本を希望し、地理的要因にとらわれずに来た場合は受け入れるということですか」と記者が切り返したかは不明。政府要人の発言を漫然と載せるだけでなく、場合によっては相手が不愉快になるまで肉迫するのがメディアの使命ではないかと思います。

ケ 経験をせずに経験きずけない
日本は難民受入の経験が少ないからシリア難民受入はやめたほうがよい、という論法があります。しかし、インドシナ難民は1万1千人も受け入れたし、数年前からはアジアで最初の第三国定住に門戸を開いて、ミャンマー難民を精力的に受け入れています。これらは、すでに経験があったから始めたことではありません。決断し推進する中でしか経験は培われないのです。新しい事柄に果敢に取り組むとき、道が開けることは往々にしてあります。ピンチはチャンスでもあるのです。

コ 貢献をしてくれるなら受け入れる?
難民は社会で活躍してくれる存在だから受け入れるべき、という意見があります。これを強調しすぎると、健康でよく働く人が欲しい、病人や老人はいらない、ということに繋がります。役に立つ、社会にとって「トク」だから受け入れるのでしょうか。それが受入対象選別の基準なら、弱者に冷たい、自分のことしか考えない国だと言われても仕方ありません。損得ではなく正義と愛の思いから、犠牲覚悟で動くべきです。中には社会に貢献する人も出るかもしれません。しかし、それはあくまで結果であり、そのことに重点を置くとおかしくなります。

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◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。


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2015年10月14日水曜日

異文化交流川柳カルタ(まみむめも)

カルタのマ行が届きました。作句とコメントは羊野さんぽさんです。



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マ)真っ逆さま!南が上の世界地図
初めて南半球を上にした世界地図を前にした時、見慣れた地形の「上下左右」が逆転するためか(「東西南北」とは四方向の順番が全て逆さまですね)、無重力空間で(逆立ちして)見ているような変な気分でした。
現代においても国名や国境線の変化は見られますが、やがてイエス・キリストが王として地上に再臨される暁には世界地図も激変。その将来へ向かう世の動向の基軸を何と見るか、また個々の歩みにも、逆転の発想・予想外のものという具合に、人の見方とは遥かに異なる、生ける神の視点に心を留める大切さを、私は教えられます。
「♪あ~たま、肩 ……耳♪」と歌う子どもたち

ミ)耳つまみ「Me(ミィ)! Me(ミィ)!」はしゃぐ異国の子
右の写真は、低学年クラスで、身体に手を当てて部位の名称を日本語で歌っている様子です。
耳を触り「みぃーみぃ=me!me!(ぼく! わたし!)」と歌うのが変な感じ? Mの連続音がくすぐったいのかな? 歌い終えてなお大ウケしてはしゃぐ子どもたちは、「ミミ」が笑える音なのだと気づかせてくれました。
仮に、顔の端にある耳が自分を指す部位とするならば、自己中心にならず、両耳を神と人とによく傾けるようになるでしょうか?


ム)無料治療ふところにまでケア届く
海外で、開いていた病院に入ったところ、意図せず急患扱いで診てくれたうえ処方された塗り薬も無料で驚いたことがあります。気持ちとお財布までもがケアされた心地でした。医療保険証を持たない滞在者にまで社会福祉の行き届く国。その財政を心配してしまいますが、現在も旅行者の救急治療費は無料らしいです(さて、どこの国でしょうか?)。ホスピタルとホスピタリティの語幹が同じことに思いは至ります。


とうもろこしトッピングの焼き立てピザ
メ)「珍しい?」家庭の味でシェフ気取り
重厚な木の温もりあるアイランドキッチンで、ホストファミリーと一緒にピザを手作りした際、私は缶詰のスィートコーンを散らしました。それだけですが、思いもよらないトッピングと言われ、食後、お気に入りピザに認定され得意顔に。私の目には、レシピを収集し、スキヤキを期待してみりんやウマミ調味料までもが準備されていたり、パン生地(dough:ドゥ)を常備していたりする方が珍しくて、熟練シェフご夫妻に映りました。
遡れば、初スティ先のミューズリー(と呼んだ物はグラノーラ。共に朝食シリアルの一種)をオーブンで手作りしていたホストマザーも間違いなく素晴らしいシェフです。


モ)文字書かずアルファベットの音つづる
英語を習い始めた頃、筆記体で、書いて覚えませんでしたか?
アメリカでは滞在当時、皆の前で単語のスペルを、例えば「ビィ、アイ、ビィ、エル、イー。バイブル」のように諳んじて正確さを競うコンテストを見て感心した一方で、ノートや手紙に筆記体で書く人を見ませんでした。
日本語は音よりも目(手習い)で覚える特性があるように思います。ただし、先ず耳からの語感が整うと目で学ぶ段階の理解力にも良いらしく(『日本語の絶対語感』外山滋比古著)、順序を踏む必要を覚えます。「信仰は聞くことから始まる」と聖書にありますし、主の教えを口ずさめるように、暗誦での記憶は見習いたいところです。
聞くところによると、今の日本では英語アルファベットの筆記体は習わず、漢字の練習もタブレットだそうで(目の疲労が心配)、直筆の行書・カリグラフィーに趣を感じる者としては、ちょっぴり寂しい気がします。

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2015年10月9日金曜日

シリア難民川柳カルタ(その二)

このカルタ作成に参加者が与えられました。多文化共生川柳カルタの共同作句者(尾張小町)の一員、人見泰弘さんです。今回はウの句を送ってきてくださいましたので、私がエとオを通勤電車内で作りました。これでアイウエオが出そろいました。

このカルタは様々な方と協力して作っていきたいので、参加したい方は作品(コメントも自分でつけてください)を送ってきてください。川柳は本来コメントをつけるものではありませんが、川柳カルタシリーズは啓蒙的な意味を込めて、あえてコメントを付しています。……句だけ読むと何のことかわからない、という面を解消するためでもあるのですが、それは内緒。
川柳ひろば管理人
森川博己

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ウ 右往左往EU難民道知らず (人見泰弘)
Googleマップより
EUは難民の受け入れ分担を決定しましたが、その域内では、ハンガリーやクロアチアなどが自国の国境を閉鎖したり他国に難民を移動させたりするなど、難民への対応や方針は混乱したままです。難民自身も、どこに向かわされているのかわからないまま、国際的保護を待ち続けています。EUも難民も、どの道をいけばよいのか混乱しています。

エ ええのんか門前払い宣言し (森川博己)
私は大阪府吹田市の出身です。今後は大阪弁の作句に心がけたい次第です。さて、「門前払い」というのは、記者から質問された安倍首相の応え、「人口問題として日本は移民を受け入れる前にやるべきことがある~」のことです。ポツダム宣言について「つまびらかには知らない」とのたまわった首相です。難民を保護するための国際条約が半世紀前から存在し、それに日本も30年以上前に加入している事実を知らないのでは。法務省入国管理局の皆さん、条約内容を首相にブリーフィングしてください。違憲立法を拡大解釈でごり押しできる手腕のある首相ですから、条約に記載がないので認定できないと法務省が苦慮されている「紛争地から逃れてきた人」など、苦も無く拡大解釈してみせるでしょう。

オ 遅すぎることはないのよ何事も (森川博己)
7日に欧州議会で仏独首脳が、ベルリンの壁崩壊以来26年ぶりに共同演説を行ったそうです。難民問題への欧州の危機感の強さを表しています。演説の中でオランド仏大統領は今回の難民問題の原因となっている中東・アフリカ情勢の不安定化にふれ、「欧州は、こうした地域の悲劇が自分たちに関わることを理解するのが遅かった」と述べ、結束を訴えたと言います。遅すぎたと言えども、明確に問題を認識することが解決の第一歩です。一億総活躍社会しか頭にないような日本の政権。難民問題解決への多額の拠出は評価できますが、そもそも上記の危機感を共有できているのでしょうか。また、欧州その他の国々は日本の対応を(実際は)どう見ているでしょうか。

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2015年10月6日火曜日

シリア難民川柳カルタ(その一)

人口の約半分、1100万人以上が戦火を逃れて国内や国外に避難しているシリア難民の動向が欧州のみならず世界を席巻しています。第二次大戦後最大のこの難民流出の事態に対して、人道的観点から犠牲を覚悟で難民受け入れに動く名だたる先進国や中堅国と異なり、日本は今まで通りというべきか、一種独特の動きをしているようです。

これから折に触れ、テレビ報道や新聞記事を題材に川柳を仕立て上げ、作品とコメントを提供します。今回はうまい具合に、文頭にアとイがつくものが一つずつ浮かびましたが、今後の作句は順不同になると思われます。どのような頻度で継続するかお約束できませんが、とりあえず第一弾です。
川柳ひろば管理人
森川博己

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朝日新聞WEBより

ア 新しくなったのどこか教えてよ
今後5年間の難民認定制度の運用方針などを定めた『出入国管理基本計画』を法務省が9月15日に公表。これについてのコメントを記者から求められた緒方貞子・元国連難民高等弁務官は、「どこが変わったのか。特定できませんでした」と応じた。シリア難民など「紛争から逃れてきた」人を難民認定の対象にしない限り、見るべき変更はないに等しいという評価でしょう。


イ 移民を入れず国民総活躍?
関連ニュースNHKより
中東の難民問題解決のために970億円もの大金を出すと安倍首相が国連演説で誇らしく約束しました。これは数百万人の命を救える額のようです。演説後に外国人記者から、日本がシリア難民を受け入れる可能性について問われた首相は、「人口問題としては、移民を受け入れるより前に日本にはやるべきことがある。女性と高齢者の活躍だ」と意味不明の回答をしました。「難民は誰も受け入れたくない。お金を出すから我慢してくれ」という趣旨らしい。

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2015年10月2日金曜日

多文化共生川柳カルタ(はひふへほ)

作句担当の「尾張小町」の今月のメンバーは北奥順子、近藤公彦、近藤淳宗、柴田睦美(イラストも)、人見泰弘の皆さんです。

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ハ ハラールのお店がなくてハラ減った
イスラム教徒向けの食材を扱うお店がハラールショップです。イスラム教徒にとって、ハラールショップは日本での生活に欠かせません。

ヒ 日が暮れてみんな集まるラマダンだ
イスラム教には、一ヶ月ほど日中の間に断食をして神の恵みに感謝するラマダンがあります。毎年の時期は変わりますが、2015年のラマダンは6月18日から7月17日まででした。日が暮れると、イフタールと呼ばれる一日の断食の終わりを示す食事を取ります。家族や友人などが集まり、楽しい会話が始まります。
<管理人コメント>エジプト出身の相撲力士・大砂嵐もラマダンの時は食事抜きでその場所の土俵をつとめるようです。「はりて」や「かちあげ」が徐々に影をひそめ、正統派の相撲取りになってきているのが嬉しいですね。

フ 増えているベトナムからの外国人
日本には、約10万人のベトナム出身者が暮らしています(2014年末時点)。在留外国人のなかでは、五番目に大きな人口規模となりました(ちなみに、第一位から第四位まで、わかりますか?)。かつては難民として来日した人々が多かったのですが、近年は留学生や技能実習生として来日する人々が増えています。ベトナムは海外就労などを促す出移民政策を取っており、その影響を感じさせています。
「OSUNAARASHI vs ENDO」相撲ポストカードより
<管理人コメント>相撲界にいる在留外国人、私の想像では第一位はモンゴル、第二位がジョージア(=グルジア)、第三位がブルガリア……というところでしょうか。幕内にロシアや中国出身もいますね。一昔前はアメリカ(=ハワイ出身)が断トツで一位だったはずです。ところで、ベトナム出身の力士がいるのかな?

ヘ 偏見だヘイトスピーチいいがかり
ヘイトスピーチへの対応が社会問題となっています。多文化共生を実現するうえで、日本でもヘイトスピーチを規制する法律が求められています。

ホ 保見団地サンバと一緒に盆踊り
愛知県豊田市の保見団地は、日系ブラジル人の方が数多く暮らす団地です。夏休みには、サンバと盆踊りが行われています。

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