2015年9月10日木曜日

異文化交流川柳カルタ(はひふへほ)

カルタの「は行」が届きました。「ご覧のカルタも、早や折り返しとなりました。ほぼ昔の事柄ではあるものの、全48句予定、少しでも目に留まるところがあれば感謝です」と作句・コメント担当の羊野さんぽさんはおっしゃっています。

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ハ)発音を真似され気づく聞き上手
屈託のない子どもたちの遠慮のなさには、良い意味でハッとさせられます。不快感を与えない真似は、好意的によく聞いてくれているからで、録音された自分の声を初めて聞いた時のような微妙な気持ちになりながらも、微笑ましい子どもたちの様子に、自分のジャパニーズ・イングリッシュの聞こえ方を暗に教えてもらいました。

ヒ)左肘つき晩餐のヨハネまね
「食べてすぐ横になると牛になる」と言われたのは、お行儀や怠惰をたしなめるためでしょう。しかし近頃では、食後少し胃の(右ではなく)左側を下にすると食道への胃酸の逆流を抑えられると聞きます。
「最後の晩餐をイメージした木彫り」
(この置物では、キリストの位置の人形は
横になっていませんね)
その姿で思い出すのは、イスラエルの土産物店で目にした木彫りの置物、コの字型の座卓の外側に主イエスと十二弟子が着く、最後の晩餐の様子です。
キリストの右に座す弟子は、床に左肘をつき胸を開いてそらし、差し伸ばした右手と顔をイエス様に向けていました。苦しそうな体勢に思えて真似てみると、なるほど聖書にあるとおり、左隣の人の胸近くに位置し寄りかかれると分かります(食道にも良い姿勢だったとは!)。
当時の過越の祭りの食事風景を視覚的に教えられて、あの聖書場面に臨場感が湧くようになり、床に座る様式でも日本の和室とは全く違う文化を認識できました。

フ)ふるさとへ手紙はまるで献立表
海外に滞在していた時、家族に心配を掛けないように、手紙や写真をよく送っていました。初めて聴く聖書からの話を(聖書に出てくる単語を聞き間違えたまま)書き留めたものを送っていたり、特筆する出来事がなくても何を食べているかを書き添えたため給食やディナーのメモばかりが目立ったり。帰国後に読み返すと、それらメッセージ報告・食日記然としたエアメールが届くたびに目を通したであろう家族の読後感を想像しつつ、笑ってしまいました。この句は後者のことを詠んでいます。

ヘ)変ですよ血液型で人を見ちゃ
日本では血液型による性格傾向が話題に上りやすかったこともあり、アメリカで子どもたちへのアンケートに血液型を加えようとしたところ、自分の血液型を知らないだろうからと、教師に一蹴されました。誰も知らないとは知りませんでした。実際のところ、様々な統計分類や偏った情報は、思いのほか邪魔な先入観や思い込みの種になり得ますしね。
<管理人コメント>何十年も前ですが、自己紹介文を介して互いの人となりを理解するという機会がありました。回ってきた記入欄に「血液型」と「星座」という項目があり、私は、血液型は「そんなものがあったような気がする」、星座は「最近は夜空に思いをはせることがなくなった」と書き込みました。スズキ・メソードで有名な鈴木鎮一は、生まれつきの音楽的才能を否定して、必要な環境を提供し愛の心で見守ることの重要性を説きます(講談社現代新書『愛に生きる』、1966年)。ベネズエラを中心に取り組まれている、音楽による社会変革運動「エル・システマ」の教育法にスズキ・メソードが採用されているのは偶然ではない気がします。そして何よりも、「キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者」(第二コリント5:17前半)だということを忘れないようにしたいものです。
「折り紙のクリスマスツリー」

ホ)ホリデーの由来さておきディナーの日
収穫感謝祭(サンクスギビングデー)やキリスト降誕祭の休暇(クリスマスホリデー)に、家族や親族と過ごす習慣から、スティ先の親戚宅や招かれた家庭で団欒を過ごす幸いを味わいました。が、せっかく感謝祭発祥に関係するアメリカはニューイングランド地方に滞在しながら、その意味合いを特に教わることもなく、初めてのサンクスギビングの時季は初ターキー&マッシュドポテトを味わう日々となっていました。
日本は、祝祭日や振替休日は昔よりも増加しましたし、勤労感謝の日もクリスマス・シーズンもありますが……。





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◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

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2015年9月8日火曜日

多文化共生川柳カルタ(なにぬねの)

いつも作句・コメントをご担当いただいている「尾張小町」の今月のメンバーは北奥順子、近藤公彦(イラストも)、近藤淳宗、柴田睦美、人見泰弘、松田薫の皆さんです。

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ナ 夏休み日本語教室満員だ
夏休みになると日本語での宿題がたくさん出るため、日本の学校に通う外国人の子どもたちが、街の日本語教室に宿題を持ち込みます。

二 入管の収容先から電話なる
外国人支援団体には、収容されて助けを求める外国人からの電話が後を絶ちません。

ヌ 抜け出せない借金抱える実習生
来日費用を借金して日本にやってくる技能実習生がいます。彼らはまず借金を返さなくてはと必死に働いています。しかし、実習生の収入は決して高くはなく、借金返済は簡単ではありません。

ネ ネパール人 難民認定おりました
ネパール人の難民申請者が増えています。2015年春、愛知県に在住するネパール人が、日本で初めて難民認定を受けました。

ノ 望まない親子離れる強制送還
在留資格がない外国人家族のなかには、家族全員での日本滞在資格の取得がかなわず、子どもは日本に残り、両親だけが帰国することがあります。離れ離れになった親子は、どうなるのでしょうか。親子が一緒に暮らせることを重視する家族統合の原則が問われています。

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2015年9月2日水曜日

難民支援川柳カルタ(はひふへほ)

石川えりさん(難民支援協会代表理事)が帰ってきました! 「なにぬねの」を掲載したのが4月27日。梅雨も終わり、暦上は残暑に入りました。石川さんには何の関係もありませんが、待たされた4か月間で照ノ富士は大関になってしまいましたよ。カルタが完成する頃には、白鵬をしのぐ横綱になっているかもしれません。

歴史を振り返るのはこれぐらいにして、お待ちかねの作品をご紹介しましょう。作句は石川えりさん。コメントは川柳ひろば管理人・森川博己と石川さんの共作です。

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難民への食事の提供
は=腹いっぱい食べたい希望にこたえたい
 マザー・テレサの逸話を思い出しました。インドの小さな子どもが、誕生日にもらうプレゼントの代わりにお金が欲しいと親に頼み、それを袋に入れて、「マザーの働きに使って」と渡したそうです。困った人の希望に応えるのはだれか。公的な組織の対応が不十分だと言い募るだけでなく、自分自身は何をしてきたかと考えさせられます。

ひ=貧困が連鎖していく子どもにも
 JARでは親御さんから困窮状態を主にヒアリングしますが、小さいお子さん、場合によっては小学生、中学生を抱えておられる時に、JARからの支援で月々生きていかれるのか、とても不安になります。実際に修学旅行のお金がない、レコーダーが買えない等のお話を聞くと、この子どもたちの将来がどうなっていくのか、とても気になります。
 
ふ=増えていく難民申請次々と
 日本での難民申請者の数はこの数年うなぎ昇りで、毎年五百人、千人単位で増加しています。予算の制限から、役所はこの動きに併せて人員を増やせないようであり、結果判断の手続きを必要以上に簡略化したりスピーディーにする案も出ていますが、それによりたとえわずかでも、保護されるべき人が保護されない事態を招かないようにすべきです。

難民の子ども
へ=減っていく申請者への保護措置数
 保護措置というのは、「難民認定申請者のうち生活に困窮するものに対する公的支援」のことで、具体的には「生活費(一定額)、住居費(一定限度での家賃補助等)その他の保護費の支給及び当面の居所を自力で確保できない者に対する難民認定申請者緊急宿泊施設の提供など」のことです。当然ながら予算枠が限定的なものである限り、申請者が増えることに反比例する形で、一人あたりの実質的措置内容が縮小することになります。最近の統計によると2015年3月末の保護費受給者は160人と、2011年の357人に比べて半分と、劇的に減少しています。一方で難民申請者は5000人で、なかには9年以上結果を待っている人がいることも明らかになっています。難民申請者の就労を制限する動きもあり、これ以上生活が追い詰められることがあってはならないと思います。

ほ=「本当の難民」 なんかやな響き
 「本当の難民」という言葉の背後には、実際には「ウソの難民」が多いのだから、難民認定判断をする際には、申請者が言っていることを疑ってかかろうとする心理が垣間見えます。申請者は被疑者であり、犯罪人と疑ってかかり、自ら十分に無罪を立証した時だけ「難民」と認めてやろうという姿勢です。この意識が変わらない限り、日本の難民認定数が適切な数値になる日は来ないようにも思えます。

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