2015年7月28日火曜日

多文化共生カルタ(たちつてと)

名古屋で多文化共生に関わる仕事をしている詠み人集団・尾張小町によるカルタ「たちつてと」が届きました。大相撲名古屋場所は一昨日で千秋楽でしたが、角界も多文化共生的なテーマで句が作れそうですね。

尾張小町の今月の作句メンバーは、北奥順子(イラストも)、近藤公彦、近藤淳宗、柴田睦美、人見泰弘、松田薫の皆さんです。

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タ 食べたいな毎日思う母の味
容貌その他の面で(日本人とは)違う違うと言われる外国人でも、私たちと同じく、母の味は恋しいのです。

チ 中部圏地球の裏側ここにある
中部圏には、日本からちょうど地球の裏側にあたる、ブラジルやペルーなど中南米からの人々がたくさん暮らしています。名古屋市内では毎年、中南米にゆかりのあるフェスやイベントが行われています。たとえば、名古屋・大須商店街のラテンアメリカフェスティバルはこちらhttp://pukio.jp/latinoamericafestival.html

ツ つなみだぞ「高台避難」がわからない
津波が来たとき、「高台避難」とい
う言葉がわからず、逃げ遅れた方々がいました。「高いところに逃げてください」ならわかったのにと、多くの外国人から聞きます。同じ表現でもわかりやすく伝える、「やさしい日本語」が求められています。
<管理人コメント>外国人にわかりやすい日本語にするコツは和語を使うことですね。高額所得者→すごいお金持ち、酒類の過剰摂取→お酒の飲みすぎ、廃品回収→いらないもの集め、等々。

テ 店員の名札を見ればカタカナだ
コンビニに行くたびに、外国人スタッフをみかけます。最近はスタッフさんの出身国もますます多様化しているように感じられます。

ト 東海の産業支える外国人
東海地方は自動車産業などの製造業が集中する地域です。その下請企業では、数多くの外国人労働者がモノづくりを担い、この地域の産業を支えています。
<管理人コメント>「東海の~」とくると自動的に「小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」(石川啄木『一握の砂』の冒頭の一首)が頭に浮かびます。川柳ひろばからも自然にそらんじるような傑作の登場を期待しています。蛇足ですが、啄木の言う「東海」は、「東のほうの海」あるいは「日本国」という意味らしく、東海地方とは無関係のようです。

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◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

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2015年7月27日月曜日

東日本大震災被災地の中学生が詠んだ俳句

『女川一中生の句 あの日から』(小野智美・編、2012年、はとり文庫004)を読みました。東日本大震災直後に懸命に文具支援を呼びかける宮城県女川(おながわ)町立女川第一中学校(現女川中学校)の一教諭の行動に財団法人日本宇宙フォーラムの山中勉さんは心を動かされます。そして学校に、生徒に俳句で心の思いを表現してもらい、作品を国際宇宙ステーションに運びませんかと提案します。生徒の句集は2012年の夏に宇宙に打ち上げられたようです。

「2011年5月と11月に行われた2回の授業。津波で家族を、家を、故郷の景色を失った生徒たちが、季語にこだわらず、五七五に心の内を織り込ん」(前掲書15頁)で出来上がったのは次のような作品(本に取り上げられた中のごく一部)です。


今伝える今まで本当にありがとう
いつだって道のタンポポ負けてない
一人ずつ自分の笑顔とりもどす
いつも思う夜の星見て明日も良い日
春風が背中を押してふいていく
あの時から一日を大事に過ごす日々
見たことない女川町を受けとめる
今すぐに夢へと僕は走り出す
ただいまと聞きたい声が聞こえない
逢いたくてでも会えなくて逢いたくて
つらい日があったからこそ今がある
見上げればガレキの上にこいのぼり


編者の小野智美さんは朝日新聞仙台総局の記者。女川一中の生徒やその家族、俳句授業を担当した教諭などと親しく交流し、句が出来上がる背景、句に込められた生徒の心情と、作品を目にした親の思いなどを、細やかで愛情ゆたかな文章で綴ります。

「女川町では東日本大震災の津波で町人口の一割近い人々が犠牲になった。その割合は岩手、宮城、福島の東北三県の被災市町村の中で最も大きい。町に住んでいた10,016人のうち827人が死亡・行方不明となった。」(前掲書83頁)

句を詠むまでの心の動きや背景情報に触れるとき、一つひとつの作品の重みが伝わってきます。ちなみに、学校に俳句作りを提案した山中勉さんは『みあげればがれきの上にこいのぼり…―地球人の交換日記〈1〉 (地球人の交換日記 1) 』(日本宇宙フォーラム、2012年)という本を書いておられます。

川柳ひろば管理人
森川博己

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2015年7月21日火曜日

「遺言川柳」のおもしろい作品

UFJ信託銀行(現在は三菱UFJ信託銀行)が平成15~17年に限定して毎年、「遺言川柳」大募集キャンペーンを行いました。自行の業務に関連する遺言や相続に関する人々の意識を知るために川柳を利用したのでしょう。賢いやり方です。

第2回(平成16年実施)の応募作品の一部を掲載した本『泣いて笑って 遺言川柳』(UFJ信託銀行編、幻冬舎、2004年)が手元にあるので、作品をいくつかご紹介します。コメントはすべて川柳ひろば管理人・森川博己です。

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・ゆずりあい俺いらないよ母親は
もう少しユーモアがほしいですね。『日本人には思いつかないイギリス人のユーモア』(北村元著、PHP研究所、2003年)に次のようなジョークが出ています。「ある男が、案内広告欄に一つの広告を出した。『妻求む』。翌日、彼は100通を超える手紙を受け取った。すべてが同じ内容だった。『私のをあげる』」。こちらのほうがとぼけている分、楽しめます。

・物よりも相続したい母の味
入選句(5作品)の一つ。なお、入選句の上に特賞1句、下に佳作20句があります。

・顔揃え開けた遺言寄付の文字
ご存じない方へ。JELAは遺贈を受け付けています。すでに遺贈してくださった方もいらっしゃいます。川柳ひろばの皆様も、ご相続される方々をがっかりさせない程度にこの制度をご利用いただけると幸いです。


・遺言に寸志と書いたのしをつけ
・遺言を絵手紙で書く習いたて
・遺言を孫に書いてる長寿国
・できるだけゆっくり来いと妻に言う
・父の日に硯と筆を贈られる
・ついクセで「ご提案」と書く遺言書
・近頃は父の寝言に耳立てる

◆◇◆

上記のキャンペーン詳細についてはインターネットから知ることができます。
「『遺言川柳』其の二 大募集!キャンペーン」結果発表(平成16年9月13日 UFJ信託銀行株式会社)http://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_utb/040913.pdf
応募句総数=62,397(応募者総数=15,256)、選考委員=幻冬舎編集局長、UFJ信託文化財団理事長、遺言川柳実行委員会ということです。

JELAが川柳を材料にキャンペーンを打つとしたら、「信仰」「希望」「愛」「感動」……のテーマでコメント付きの作句を募ることが考えられます。ご興味のある人は、テーマに沿った作品をお送りいただけませんか。今後の取り組みの参考にしたいと思います。


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2015年7月15日水曜日

異文化交流川柳カルタ(たちつてと)

作句とコメントは羊野さんぽさん。「第4回川柳ひろば」の最優秀賞と優秀賞をダブル受賞。絶好調のようです。

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タ)貯えは天に向くかな週給制
⇒ 週給よりも月給制の方が貯蓄し易いと何かで聞いた覚えはありますが、実際はどうでしょう。かつて、ワーキングホリデー制度を利用して滞在した国で経験したアルバイトはすべて時給の週給、家賃も週払いでした。週の初めの日に献金をあらかじめ手もとに置くには週給が適している気もするので、週給制は聖書から生まれたのかな?

チ)近すぎて対人距離に後ずさり
⇒ 民族性なのか個人差なのか…。人と対面する距離感覚が異なると落ち着きませんし、不思議です。
その理由や対処法をご存じの方、教えてくださいませんか。
<管理人コメント>対人距離、人と人との空間について『かくれた次元』(エドワード・T・ホール著、みすず書房)が古典的名著として有名ですが、対処法まで書いてあるか不明。
<作句者追加コメント>専門的知識でなくても、「こういう理由かもね」「自分の場合はこうしましたよ」という程度の、生活情報でいいのです。投句者や立ち寄り読者の皆様、お待ちしています!

ツ)つり銭を足して数える声がする
⇒ 珠算を習う効用のひとつは暗算のし易さだと思います。おつりを自動算出するレジも増えましたが、日本でのおつりは引き算でスッと渡されることが多いようです。対して海外では、代金から数え始めて(10ドル札で支払ったとするとその)10ドルに達するまで声に出しながら紙幣やコインを足していく方法が多く見られました。買い物客としては販売員と一緒に確認できるから良いような、時間が掛かるような…。ちなみに、そろばんのデモンストレーションは、すっかり忘れて上手くもないのに、喜んでもらえました。
<管理人コメント>状況は異なりますが、落語の「時そば」思い出します。
「ビーバー

テ)天井とベッドの高さ比例する
⇒ スティ先では、よじ登るようなキングサイズのベッドで大の字になったり、ロフトの華奢なベッドで丸くなったり。体格や家屋が違えば当然なのでしょう。
右の写真は、直径30cmはありそうな幹をビーバーがガリガリかじった跡に(手袋で)触れている様子。倒す途中なのか諦めたのか、まるで芸術品です。ビーバーのベッドは、きっと頑丈で居心地が良いものでしょう。
<作句者追加コメント>削り跡が見難いかもしれませんけれど、あしからず。なお、トリミング加工してあるため、拡大しても、顔は見えません。

ト)特別な行事ない日も交流日
「3段の雪だるまうさぎ」
⇒ アルバムの風景写真を見ていて、何気ない場景や情景が心に多く蓄えられていることに気づきました。普段の時間の共有が、特別なイベントの楽しさを裏付ける確かな支えになっていたようです。
左の写真は、日本では2段の雪だるましか見覚えがなく、目新しく感じて撮った一枚です。体のイメージが2段だったり3段だったり、なぜでしょうね。


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2015年7月7日火曜日

第4回川柳ひろば入選句発表

下記3句が選ばれました。おめでとうございます。選者は柏木哲夫先生です。近日中に景品をお送りします。

 最優秀賞
ご自由にしてと言われる不自由さ(羊野さんぽ)

〇 優秀賞
  かき氷隠し事にも少し沁み(相模秋茜)
  重ね塗り止めどき迷う絵と化粧(羊野さんぽ)

入選者が固定傾向にあり、他の参加者のさらなる投句と、投句者数の増加が期待されます。このページをご覧になっている皆さん、日頃の思いなどをユニークな視点でとらえ、自由に投句なさいませんか。70歳以上の方には「シルバーエイジ賞」、20歳未満の方には「ヤング賞」(いずれも該当年齢時初回投句時のみの賞。表彰状と景品付)を差し上げています。

「管理人おいでおいでと投句待つ」(以下に示す佳作の「うなぎ屋の~」のパロディです)。瑞々しい作品が続々と届きますように!(川柳ひろば管理人・森川博己)

◇◆◇

入選ではありませんが、第4回分の作品の中から、管理人選の佳句を以下にご紹介しますので(柳名略)お楽しみください。景品はございません。

佳 作
  よみきかせ絵本に聴いて教えられ
  聞き疲れいやし求めて神に聴く
  きよい主の光の道の影のなし
  記憶力減った分だけ増す感動
  読みすぎて詠もうとしても真似になり
  日なたぼこイエス様とお話しす
  笑顔だね通じなくても通じるね
  うなぎ屋の煙がおいでおいでする
  ご飯よと呼ぶ姉どこか亡母(はは)に似て
  朝起きて夫(つま)と讃美でボケ防止
  「死ぬ前に」がペンテコステに受洗する

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2015年7月6日月曜日

『続・番傘川柳一万句集』から

続・類題別・番傘川柳一万句集』(磯野いさむ監修、番傘川柳本社編、創元社刊、1983年)を読んでいる。編集している番傘川柳本社は、前身の関西川柳社が1909年に設立されているので百年を超す川柳交流組織の老舗。現在も川柳誌『番傘』を毎月発行している。昭和38年に『番傘』75周年事業として正編の一万句集を発行し、以後20年間の投句から秀句を厳選したのが続編である。ちなみに1909年はJELAの創立年でもある。

現代川柳六大家の一人に岸本水府がいるが(1965年没)、彼は番傘川柳本社や『番傘』の発展に多大な貢献をした人物。川柳作家にしてコピーライターでもあり、グリコの広報部長を務めてジャンケン「グリコ」を発案し、有名な「一粒で300メートル」というコピーも彼の作らしい。六大家の中では人物として突出していたようで、田辺聖子が彼の評伝『道頓堀の雨に別れて以来なり』(中公文庫から三分冊で出ている)を著し、読売文学賞と泉鏡花文学賞に輝いている。

◇◆◇

さて、水府の息がかかった句が集まっていると思われる『続・類題別・番傘川柳一万句集』から、私(川柳ひろば管理人・森川博己)の感性に合う作品をいくつか紹介する(作句者名省略)。最初から五分の一程度、つまり二千句を読んで、特に心にとまった作品である。こういったものが好みの方は、オリジナルをご購入あれ。

・葛藤を包んで地球自転する
・あまりにも月がきれいで言えぬ嘘
・気象庁所によりとうまく逃げ
・まっ白い雪が降るから救われる
・地震予知台風並みにならないか
・時計はずして自分の時とする
・初恋の人から賀状書きはじめ
・一年中父の日ですと母が言う
・罪犯すように募金の箱を過ぎ
・阿弥陀はんインド人かと聞く老婆
・予備校は悲しい顔にビラをくれ
・宿題を忘れたせいを母にする
・参観日できる子の親よくしゃべり
・辛抱をするなするなとコマーシャル
・ピカソではないから丸が丸に見え
・口笛を吹いても音痴さとられる
・レストランめし屋屋台と恋進む
・好きな娘(こ)がいるからみんなで撮ってやり
・初恋のひとの一字をペンネーム

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2015年7月1日水曜日

多文化共生カルタ(さしすせそ)

名古屋で多文化共生に関わる仕事や活動をしている詠み集団・尾張小町によるカルタ「さしすせそ」編が届きました。今回の作句メンバーは北奥順子、近藤公彦、近藤淳宗、柴田睦美、人見泰弘、松田薫(イラストも)の皆さんです。

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サ 算数の文章問題わからない
計算式で解く問題が得意な外国人の子どもはいます。でも日本語の文章問題になると、計算式がわかっても、問題が読めずに解けなくなってしまいます。ルビをふってくれると解けるのですが。

シ 少子化の穴埋めしわよせ外国人
人口減少の穴埋めのためだけに、外国の人に来てもらうのでしょうか。やって来るのは人間です。社会のしわ寄せを外国人に担ってもらう、という形でよいのでしょうか。

ス 酢豚にはパイナップルを入れるなよ
中国の酢豚には、パイナップルを入れません。おそらく日本に広まるなかでアレンジされたのでしょうか。中国の人は、パイナップル入りは食べないそうです。
<管理人コメント>大阪出身の日本人の私も酢豚にはパイナップルを入れないのですが、
名古屋では入れるのが普通なんでしょうか? そもそも私は何十年にもおよびこれまでの
人生で酢豚を数えるほどしか食べたことがないので、大阪の風習かどうか自信はありませ
ん。このページを見た人から(出身地も記して)コメントがほしいですね。
<尾張小町・ひとみコメント>名古屋だからかはわかりませんが、酢豚にはパイナップルが入っているイメージがあります。パイナップル入りの酢豚も、違和感なく食べてきました(笑)。大阪と中国の酢豚は、同じスタイルなのかもしれませんね。

セ 世界旅行名古屋にいてもできるのよ
名古屋にも外国の方が経営する飲食店や雑貨店がたくさんあります。ぜひお店などをめぐって、名古屋で世界旅行を楽しんでください。ぴったりのガイドブックはこちら!

ソ 疎外感だれに助けを求めれば
国際結婚が増えています。外国人妻として夫だけを頼りに暮らす彼女たち。夫婦の関係が壊れたときに、だれに助けを求めればよいのでしょうか。

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