2015年6月25日木曜日

キリスト教俳句の世界 その(2)

神を讃う キリスト教俳句の世界』につづき今回は『俳句でキリスト教―求道俳句をめぐる心の旅―』(平田栄一著、サンパウロ、2005年)をご紹介します。

この本の目次は以下の項目で構成されています。
聖書/神/マリア/イエス/使徒/天国/十字架/復活/教会/祈り/信頼/日本人とキリスト教

それぞれの項目はさらに細分され、その小項目の冒頭に俳句をひとつ配置し、それに関連する著者の話がエッセイ風につづきます。

全体に目を通して私(川柳ひろば管理人・森川博己)の心に残ったのは以下の句です。
・沈丁花死ぬも生きるも御摂理に(朝夷秀雄)
・風花を神の声かと仰ぎたる(遠藤若狭男)
・春睡の神にあづけし命かな(徳永夏川女)
・キリストのみ名に縋りて老の春(景山筍吉)
・キリストが恐いと泣きし児卒園す(安藤圭子)
・ユダの不信吾にもありや麦を踏む(後藤一朗)
・銀行の春のロビーに修道女(小田原豊四郎)
・天国は種蒔く如し種を蒔く(中村草田男)
・受難節鶏は卵を抱きつづけ(すずき春雪)
・蝶生れぬ復活祭にさきがけて(中島久子)
・なんとなく無宗教ですバラの刺(中山美樹)

他にもたくさん載っているのですが、私にはどうもピンときませんでした。俳句への感度が弱いのかもしれません。我田引水のようですが、川柳の方がもっと自由に作句できそうに思えて仕方がありません。

◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

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2015年6月22日月曜日

キリスト教俳句の世界

新教新書に『神を讃う キリスト教俳句の世界』(新堀邦司著、1999年)という一冊があります。日本基督教団富士見町教会の牧師だった島村亀鶴師、「降る雪や明治は遠くなりにけり」で有名な中村草田男(カトリック信徒)など、俳句に通じた十数名のクリスチャンの経歴と自作句などを紹介した小さな本です。

この中から、ハンセン病とたたかいつつ両手の自由を失い、足を切断され、失明し、さらには全身の知覚まで奪われながらもキリスト信者として歩んだ玉木愛子の作品をご紹介します。(川柳ひろば管理人・森川博己)

◇◆◇
  • かえりみて豊かに病めり走馬燈
  • 木枯や神の律法(おきて)にゐて安し
  • 生涯を打たれうたれて砧盤
    (注)砧盤(きぬたばん)は春の季語で、麻などで織った布を打ち叩いて柔らかくし、つやを出すために用いた木の台のこと。
  • 唇にさぐりて小さき桜貝

    (注)四肢の自由を奪われ、視力なくし、全身
    の知覚までおぼつかなくなった愛子は、聴覚や唇で四季の移ろいを感じ取ったそうです。
  • 祈ること怒涛のごとし去年(こぞ)今年
  • 一冊の聖書がいのち冬ごもり
  • 恩寵や常闇の身に梅ぬくし
  • よそ目には不幸に見ゆれ水中花
  • わが体操リズムに乗らず山笑ふ
  • 毛蟲匍(は)えり蝶と化(な)る日を夢見つつ
  • 天命に謝しねむりたく銀河濃し
  • 目をささげ手足をささげ降誕祭
  • 揚雲雀(あげひばり)めしひに架かる天の階(はし)

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2015年6月11日木曜日

異文化交流川柳カルタ(さしすせそ)

作句とコメントは羊野さんぽさん。今回から川柳ひろば管理人(森川博己)が一部コメントを付します。 
◇◆◇


「エルサレム、園の墓敷地内で。
プレートに、ヨハネ812a
サ)最大の異文化交流 神と人
 ⇒ 異文化交流のテーマで、ふと思い浮かんだ句です。
異文化と言うよりは御子イエスによる驚くばかりの異次元交流。
神の御心と十字架の御わざを覚えると、私は心の奥底からじんわりとあつい思いになります。
*管理人コメント:この句は視点が新鮮で、心に響きます。






シ)神前で誓うふたりの神は誰?
⇒ キリスト・イエスを信じる以前、結婚式の巫女アルバイトを数回したことがあります。三々九度は八百万の神々に対してでしょうか。
人を男と女とに創造された、唯一の神の御前における婚姻スタートは幸いです。聖書に啓示された神は、永遠かつ真の愛そのものであり、すべての祝福の基ゆえ。

「停泊中のクィーンエリザベス2
ス)スーベニア買い方に出るお国柄
 ⇒ 南半球の夏に、豪華客船も停泊する港が目と鼻の先にある、こじんまりしたス-べニア(お土産物)店でアルバイトした時のこと。
お薦めするままに店の最高値品を含む宝飾品を即買いしたのは見るからに中東の人。欧米の人は観光土産用スプーンを集める人が多く、日本からの観光客にだけ同じ商品をいくつも個別に念入りな包装でと、求められました。



セ)「節水よ」泡が消えれば皿使う
⇒ 湯で泡立てた洗剤のシンクで洗って立て掛けておけば、泡はすべり落ちるしすぐに消える。
ホストマザーと一緒に食器を洗いながら教えてもらいました。なるほどそういうものかと、そのまま食器を使い続けていて誰も身体の不調は覚えませんでしたけれど…。今思えば、熱湯を使うからなのか、オセアニアの洗剤は良質なのか?
*管理人コメント:ワイフの両親の家(在デンバー)を訪問したとき、グラスがピカピカでなかったので、使う前に水で洗おうとしたことがあります。両親がいないところでワイフから「アメリカでは人の家の食器の汚れを気にするのはものすごく失礼なのよ」と手厳しく叱られました。

ソ)掃除の手 基礎体力と誇り得る
⇒ 説明が必要な句ですよね。私が滞在した国の公立学校では、各担当教師の教室へ移動するためだと思いますが、児童・生徒が掃除をする慣習はありませんでした。また、テレビでこんな話題を観ました。日本の小学生が教室は自分たちで掃除するのを知り、それを近年、自国(中東だったか)の小学校に取り入れて好評を博しているそうです。
自分の小学生当時を顧みると、廊下や体育館の雑巾掛けなどでは足腰も鍛えられ、教室内の掃除では備品を大事にする意識などが自然に育まれていたような気がします。そんなこんなを詠んでみました。

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