2014年12月16日火曜日

【川柳ひろば】年末・年始にちなんだ作品(第二回川柳ひろば応募作から)

第二回の応募作品の中から年末・年始にちなんだものをご紹介します。選出とコメントはすべて管理人。コメントに対する作者や作者以外の方からのコメント、大歓迎です(morikawa@jela.or.jpまで)。管理人コメントには、読みの浅さに起因する内容の取り違えがあるかと存じます。作者の皆様、この点についてはご容赦くださいますようお願い申し上げます。※右の図番は、今年のJELAのクリスマスカードです。図はJELAホールのステンドグラスの一つを使用しています。

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  社会鍋支える人も弱き人
 毎年この時期に、街頭で社会鍋募金をお手伝いさせて頂いていますが、募金して頂ける方は、立派な身なりの方々よりも、一見みすぼらしいと思われる方や障害者の方々が多く見られるのが現状です。貧しい者は貧しい故に分かち合い、真の神の愛に添って暮らしています。注:この句のコメントのみ、投句者ご自身のものです。

  「歌合戦」あれど年々楽しめず
 楽しめない理由が明瞭でないのが気になります。理由が年齢による歌の好悪と関係あるなら、「『歌合戦』楽しめないのは歳(とし)のせい」にするのはどうでしょう。これでも、さらにヒネリを利かせたい気もします。ちなみに、紅白歌合戦の途中でチャネルを変えようとすると、私のワイフ(アメリカ人ですが、日本生活のほうが長いです)はご機嫌斜めになります。そして、紅白は日本のイマを知る貴重な情報源、ジャニーズ系が好きなだけではないのよ、と自己弁護するのでした。

  百八つ過ぎてまだ打つ除夜の鐘
 「百八つ」=「除夜の鐘」ですから、同語反復ですね。十七音に同じ意味の言葉は避けるのが常道です。どう変えるか。たとえば、計算にうとい僧が鐘を打っているのだろうと揶揄する感じで、「百八つ過ぎてまだ打つ 文系僧?」はどうでしょう。作りすぎもいけませんが。

  仏教徒今日だけ浮気クリスマス
 日本におけるクリスマス普及の広がりがわかる句ですね。キリスト教的に分類すると、エキュメニカル川柳と言えなくもない。ところで私は、この句を目にした瞬間、次の民謡が耳に響きました。♪土佐の高知の はりまや橋で 坊さんカンザシ 買うを見た ハア ヨサコイ、ヨサコイ♪ この歌詞は、出家という聖別された世界の存在が、世俗世界の女性の装身具を購入してどうするの、という着目点がおもしろいのでしょうね。詳しい方、教えてください。

  降誕日ケーキは一日あとで買い
 クリスマスにみんなで食べてこそクリスマスケーキなのに、売れ残って安くなるのを待って26日に買う。斬新な切り口もなく、工夫の跡もみられませんが、管理人の作品ということでご容赦ください。じっくり考えると、落選して当然の句ですね。

  見合わない粗品の価値と電車賃
 「歳末大売り出し」の粗品として解釈して取り上げましたが、一般的にも通用する内容ですね。立川志の輔が、スーパーの景品(ハンドタオル)欲しさに無駄な買い物をする妻と、それを非難する夫とのやりとりを、『ハンドタオル』という新作落語に仕立てています。全編大爆笑の傑作です。まだの方は年末年始に楽しまれてはいかがでしょう。

  煙突を潜るサンタのダイエット
 太ったサンタが煙突を上り下りしている姿が目に浮かびました。とぼけていながら、インパクトのある作品だと思います。

  のんびりと街へ師走を浴びに行く
 年末を主題とした作品で私が最も気にいった句です。忙しい師走という通念に反して、「のんびり」という言葉で始まるのがいいし、お風呂でも浴びるように「師走を浴びる」という表現が風流で魅力的です。ちなみに私は若い頃、大晦日になると毎年のように繁華街に繰り出していましたが、還暦を迎える前あたりから、家で過ごすようになりました。ソファーに座っているほうが今の私は「のんびり」するようです。

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この一年のご協力に感謝いたします。来年も精進を重ねてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。メリー・クリスマス、そしてよいお年を!
川柳ひろば管理人

森川博己


◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

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