2014年9月19日金曜日

時事ネタと川柳

時事ネタを扱った川柳、これには良い面と悪い面があります。うまく料理すれば、時代の動きをとらえた小気味よい作品になるでしょうし、一時的大騒ぎの性格が強いものを選んだ場合、すぐに鮮度が落ち、しばらくしてから読む側は「何のこと?」となる可能性があります。

新聞の川柳欄などは作品を毎日掲載しますから、時事ネタはうってつけの気がするのですが、「川柳ひろば」のように数か月単位で句を募り、年3回だけ入選作を発表する場合、誰にでもわかる、一般的で普遍性の高い内容でない限り、時間的劣化に耐えらないでしょう。

前置きはこのぐらいにして、第1回川柳ひろばの落選句から時事性に富んだものを以下に取り上げますので、以上を念頭にご鑑賞ください。コメントはあくまで管理人の独断です。当を得ていない場合はご容赦ください。大きな取り違えを犯している場合は、ご教示いただけると幸いです。

① STAPに優しい声をかけてやる
<コメント> あまりにも杜撰な実験・発表の仕方とO氏の独特のキャラクターで興味つきない事件ですが、関係者の自殺以降、軽妙さを求める川柳には取り上げにくくなりました。その点、責任のない細胞をいたわろうという本句は、目のつけどころがユニークで爽やかですね。ゴシップめいた事件を愛と慈しみの観点から眺める姿勢に教えられます。

② 聞こえないありがたい音価値あがる
<コメント> STAP細胞が話題になる前はこの、S氏のゴースト作曲事件一色でした。しかし今や、忘れ去られつつあるのではないでしょうか。私的には、「現役」時の仙人風容貌から、お詫び記者会見時の実直サラリーマン風容貌への急激な変化が、川柳素材的におもしろい気がしておりました。しかし、事件の風化のせいか、上記落選句には「抽象的深遠さ」は感じられるものの、「何のこと?」感はぬぐえない状況です。

③ 憲法を無理やり曲げる強心臓(晋三)
<コメント> 今年の日本の政局を真正面からとらえた正統時事川柳。下句では同音漢字が意味的に関連づけてあり、句の雰囲気を和らげています。真面目一方の句は川柳としてはつまらないかもしれません。願わくは、日本の政局に聖霊の嵐(愛、喜び、平和、寛容、善意、誠実、柔和、節制)が吹き荒れることで、この川柳を読む側に「何のこと?」感が一気に醸成され、ほどなく内容が意味不明にならんことを。

以上(川柳ひろば管理人・森川博己)


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